ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲1番・2番 庄司紗矢香 リス&ウラル・フィル
庄司紗矢香嬢の演奏は実演では聴いたことはありません。CDやテレビの中継でした聴いたことは無いのですが、先年Mirareから発売されたバッハ&レーガーの無伴奏を聴き、凄い才能の持ち主であることを思い知らされました。鋭利な刃物のような研ぎ澄まされた感性から紡ぎ出される音楽は、聴き手の胸に深く突き刺さって来ます。この彼女の芸風から類推するにショスタコなどはめちゃくちゃ合っているだろうな、と思っていました。その組み合わせが発売になるのですから、期待しない方がオカシイと言うものです(笑)
演奏は第一楽章冒頭のソロから音楽のエッセンスを凝縮させたような悲劇的な感情を内包した幽玄さを感じさせるものです。この部分を聴いただけでも心臓を鷲掴みにされたような感覚です。背筋に冷たいものが走ります。また第三楽章のカデンツァの深いこと! まだ若いお嬢さん(失礼!)なのにこの深さは一体何だ? 何を経験すればこんな演奏が出来る感性を持ちえるのか? 空恐ろしい深さだと思います。先々が楽しみなヴァイオリニストです。
このCD、紗矢香嬢の演奏は素晴らしいのですが、惜しむらくはオケがちょっとダメダメでガッカリです。付けのウラル・フィルの音は今回初めて聴きましたが、もっさりした音で紗矢香嬢の研ぎ澄まされたヴァイオリンの音色とは全く合いません。録音のせいかも知れませんが・・・ それにしてもこのCDの製作者は何を考えてこのようなオケをレコーディングに起用したのか? 疑問が残りますね。ロシアにはもっと良いオケはいくらでもあるはずなのですが・・・
ちなみに当CDのジャケ写はかの篠山紀信の撮影だそうです。
<参考CD>
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番
Vn:庄司紗矢香
ドミトリー・リス指揮 ウラル・フィルハーモニー
録音:2011年8月 ロシア エカテリンブルク・フィルハーモニー(セッション録音)
Mirare MIR166