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ブルックナー交響曲第7番 スクロヴァチェフスキ/ロンドン・フィル

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これも最近発売になった新譜です。

スクロヴァチェフスキのブルックナーはワタシも実演で何度か聴いたことがあります。
どちらかというとソリッドな響きと比較的軽めのテンポで、複雑なテクスチャーを丹念に解きほぐして行くような演奏だと思います。ドイツ系の指揮者が好むような重厚な響きを追い求めるものとは正反対。ひとつひとつの旋律や音符を一旦バラバラに分解して磨き上げ、再度組み上げ直す、とでも云えば良いでしょうか? 上手い表現が見つかりませんが、スクロバチェフスキのブルックナー演奏からは、そのようにして組み上げた精巧なクリスタル細工の輝きを感じることがあります。

このロンドン・フィルと組んだ交響曲第7番の演奏からもスクロヴァチェフスキの美質は充分に感じられます。第一楽章冒頭のチェロの上昇音型のなんと美しいこと。美しく輝きながら内側からふっくらと包み込むようなハーモニーが聴こえて来ます。ワタクシ的にはこれで完全にノックアウトされました(笑)もう降参です。あとはブルックナーの音の絨毯の上を絹の肌触りを感じながら転がるだけです。

第二楽章も美しい。第一主題の荘厳な旋律。そして第二主題の主旋律を支えるヴィオラとチェロの対旋律がこれほど意味深く奏でられている演奏を聴いたことがありません。

第三、第四楽章は比較的軽めのテンポでサッと進行します。ワタクシ的には少し食足りない思いがしますが、元々前半の二つの楽章に対して後半の二つの楽章はあっさりとした音楽になっているのでこのような演奏になるのも理解は出来ます。ただ、特に第四楽章などは、朝比奈のデモーニッシュの極致とも云うべき凄絶な演奏を聴いたこともありますので、全曲の最後を飾るフィナーレとしてはもう少し違うアプローチもあるんじゃないかなあ、と思ったりもしました。

そうは云っても全体を通しては名演の部類だと思います。
ある意味、現代的なブルックナーとも云えるかも知れません。
ご興味のある方は是非聴いてみて下さい。


<参考CD>
アントン・ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2012年10月24日 ロンドン・ロイヤルフェスティバルホールにおけるライブ録音

LPO-0071(ロンドン・フィル自主製作盤)






by score1204 | 2013-11-20 23:41 | CD(クラシック)

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