scoreのオーディオ&音楽日誌

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カテゴリ:CD(クラシック)( 82 )

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はい、また出ました。
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのライブ録音。
今回は1961年ノルウェーのベルゲンで行われたベルゲン音楽祭でのライブ録音です。
ベートーヴェンの交響曲第3番とショスタコーヴィチの交響曲第5番が収録されております。
いや、それにしても、この二つの大曲を一回の公演で演奏してしまうのですから、恐ろしいオーケストラです。
しかも、それぞれ目を剥くような完成度。
もう凄いとしか云いようがありません。
まさに、オーケストラ芸術ここに極まれり、の感があります。

1枚目のベートーヴェンの交響曲第3番は、冒頭から気合十分。
速いテンポで一気呵成に駆け抜けて行きます。
ワタシはほんと云うと、こういう速いテンポで即物的に演奏されるベートーヴェンは少し苦手です。
フルトヴェングラーや朝比奈のように、たっぷりとしたテンポで紆余曲折を重ねながら音のドラマ紡いで行くような演奏が好きなのですが、ムラヴィンスキーのものはその対極を行くもの。ほんとなら毛嫌いしてしかるべきなんですが、余りに凄すぎて聴かされちゃうんですよねえ。好き嫌いを超越した凄みのようなものを感じて、ソファの上で身動ぎひとつ出来ない始末(^^;;)
更に高貴な風格まで兼ね備え、ベートーヴェンの孤高たる心情を格調高く描きあげて行きます。
参りました。
こんなの聴かされたら、何も云えません(^^;;)

2枚目はショスタコーヴィチの交響曲第5番。
この曲のお手本のような演奏ですが、その高みには中々到達出来ない。
いや、到達するのはほぼ不可能だろう、と思わせられるような完成度の高さです。
どうすれば、こんな演奏が出来るのか?
ppからfffまで有機的な繋がりを見せ、どのパートも全く破綻を来さない。
全ての楽器にムラヴィンスキーの意志が浸透し、全ての音に重要な意味があるかのように一音一音を大切に奏でられています。
ですから、例え録音とは云え、聴いているこちら側も知らず知らずのうちにショスタコーヴィチとムラヴィンスキーの音楽に引き込まれてしまいます。

ベートーヴェンもショスタコーヴィチも全編圧倒的なまでの素晴らしさです。
古いモノラル録音ですが、音質は優秀。
聴いているうちにそんなことは気にならなくなるほどの凄さがあります。
是非多くの人に聴いて頂きたい演奏です。


<参考CD>
レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)

ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 Op.47『革命』

録音:1961年6月2日 ベルゲン音楽祭におけるライブ録音(モノラル)


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by score1204 | 2015-06-13 23:49 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
f0229581_21355856.jpgポーランドの名指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキの名前は好楽家であれば馴染み深いことでしょう。日本にも度々来日していますし、読売日本交響楽団やNHK交響楽団など、日本を代表するオーケストラに客演して、名演奏を聴かせてくれております。

そのスクロヴァチェフスキがロンドン・フィルを振って録音した本盤、鬼神が乗り移ったかのような凄まじい演奏になっているかと思います。

いつものように、やや早めのテンポで開始されます。
第一楽章第一主題の後半部を、鋭く楔を打ち込むような強烈なテンポで一気呵成に奏でます。
第一主題の前半と後半をこれほどまでに陰影感を付けて、コントラスト深く描き上げる演奏は聴いたことがありません。先鋭的でありながらも何故か妙に納得させられてしまいます。

全編に渡って見通しの良いサウンドと透徹した響きが横溢します。
ブルックナーらしくないソリッドな響きのように思えますが、決して薄いサウンドではありません。
要所要所でスパイスが効き、うかつに触れるとやけどをしてしまいそうな熱気を感じます。

楽句の切り替わりで、まるでギアチェンジするかのようにテンポを変え、音楽全体にメリハリをつけていくところは流石の味付けです。何を聴かせたいか、どこを聴かせたいかが良く判ります。

最終楽章のコーダで第一楽章第一主題が戻って来るところでは、あたりを払うかのような威風堂々とした巨大な歩みを見せ、実に感動的なフィナーレになっていると思います。

流石、スクロヴァチェフスキです。こんな演奏は彼しか成しえないでしょう。

先鋭感たっぷりの演奏ですのでこの演奏を嫌う向きがあったとしても理解出来ます。
しかし、そのサウンドからスクロヴァチェフスキがこの曲を通して何を訴えかけったのかを探ってみるのも一興かと思います。

手垢に塗れていないブルックナー像を耳にしたい方には強力推薦いたします。


<参考CD>

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー 交響曲第3番 ニ短調 WAB103

録音:2014年3月14日 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるライブ録音

Lpo LPO0084(ロンドン・フィル自主制作盤)
by score1204 | 2015-04-20 22:07 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
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ハーンの新譜も1年半ぶりぐらいでしょうか? 
待望の新譜がモーツァルトとあまり知られていないヴュータンとのカップリングというのもハーンらしい選曲のような気がします。しかし解せないのは、久しぶりの新譜が何故モーツァルトの5番なのか? ハーンのようなヴァイオリニストならもっと他にレコーディングすべき曲があるのではないか? そんな気がしてしまうのです。
個人的にはハーンのヴァイオリンでベルグやコルンゴルド、グラズノフ、プロコフィエフの協奏曲を是非聴いてみたい。勿論、モーツァルトがダメ、と云う訳でなく、こういう曲はもう少し年齢が行ってからでも遅くはない、と思ってしまうのですね。

ですが、聴いてみてわかりました。
ハーンはこれをやりたかったんだ。
なんとなく腑に落ちたような気がします。

このCDはパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルとの共演です。
カンマーフィル。。。室内管弦楽団のことですが、ご存知の通り、普通のオーケストラと比べると弦楽器の数がかなり少なくなっています。それ故、透明感が抜群でオーディオ的にいうならソリッドな響きを特色とします。

ハーンはこのドイツ・カンマーフィルの透明な音色に合わせるように、どちらかというと細身な音を乗せて行きます。
ひと昔前のモーツァルト演奏は、どちらかというとふっくらした音で奏でられることが多かったように思います。私はこういう演奏の方が好みなのですが、最近では小編成のオーケストラを使い、またヴィヴラートを少なくし、ソリッドな響きを持って演奏されることが多いように思います。

ドイツ・カンマーフィルはパーヴォ・ヤルヴィと上記のようなアプローチでベートーヴェンの全集を録音したこともあり、新鮮なベートーヴェン像を我々に提示してくれました。
その指揮者とオーケストラとの共演です。手垢にまみれない新しいモーツァルト像を提示したかったのかも知れません。

そのように思って聴くと、なるほどな、と思えるところが幾つかあります。
先述したようにハーンにしては音が細いな、と思えるところが何か所かありますし、冒頭のやや芝居がかった表現など(臭くなる寸前で止めてるところが素晴らしい)非常に表現意欲に富んでいると思えます。

ただ、この表現だとなんだか大人しめで少し面白くありません。
ソリッドな響きのモーツァルト像としては面白いと思いますが、協奏曲ならではスリリングさが物足りない。
で、カップリングのヴュータンでハーンらしく、太い音でガツガツ弾く選曲がなされているのでしょう。

ヴュータンのこの曲は初めて聴きます。
独奏ヴァイオリンの聴かせところが沢山ありますし、劇的な曲想もあって面白い曲ですねえ。
他にも無いかちょっと探してみます。
個人的には大変気に入りました。

いろいろと勝手な憶測を書いていますが、演奏そのものは素晴らしいと思います。
是非一度聴いてみて下さい。


<参考CD>

ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 《トルコ風》
ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ短調 作品31

録音
2012年12月 ブレーメン(モーツァルト)
2013年8月 シュトゥーア(ヴュータン)

DG Deutsche Grammophon 4793956
by score1204 | 2015-03-08 00:14 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(2)
f0229581_2161225.jpg古楽オーケストラによるブルックナーの演奏はこれまでに幾つか耳にしたことがあります。例によってセカセカとテンポが速く、薄い響きのもの。ブルックナーならではの部厚い音響絵巻を聴かせてくれるものの、今ひとつ突っ込みが足りないもの、と正直云って良いな、と思える演奏には巡り合って来ませんでした。

と云うこともあって、このCDも余り期待しないで購入しました。最近、古楽オーケストラのブルックナー聴いて無いな。久しぶりに買って聴いてみるか、ぐらいの期待値の低い買い物だったのです。しかし、これが大間違い。今まで聴いてきた古楽オーケストラのブルックナーの中ではピカイチ。いやそれだけでなく、全てのブルックナー演奏において名演の部類に入る素晴らしいものでした。いや~これはめっけもんです(笑)

指揮者のフィリップ・フォン・シュタインエッカーはドイツの新鋭。指揮活動だけでなくオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークでは首席チェロ奏者を務めるなど(こちらが本職?)モダン、ピリオドの枠に捉われない活動をおこなっているそうです。私は今回初めて彼の演奏を聴きました。

このブルックナー交響曲第1番の演奏は、とてもエネルギッシュ。古典的なアプローチをとりつつ、時折大胆なアゴーギグを見せるなどしておりますが、全然あざとくないのですね。曲想にピッタリと合っている。
どこをとっても文句の1つも出て来ない納得の演奏です。古楽オーケストラにありがちな薄い音味ではなく、ブルックナーならではの部厚い音響絵巻には舌を巻きます。

全てがツボを捉えている演奏ですので、文句のつけようもないのですが、ひとつだけ。終楽章コーダ直前ホルンで第一主題を高らかに奏でるところがあるのですが、これを少し弱く吹かせたのには疑問符が付きます。決然とした表現が要求されるところだと思うのですけどね~

ともあれ、演奏全体としては素晴らしいものです。最近聴いたブルックナーの録音の中でも筆頭にあげられると思います。

よろしければ是非!


<参考CD>
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調(リンツ稿)

ムジカ・セクロルム
フィリップ・フォン・シュタインエッカー(指揮)

録音:2011年3月 メラーノ、クルハウスにおけるライブ録音


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by score1204 | 2014-06-04 21:24 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(6)
f0229581_22145761.jpgまたしても更新をほったらかしておりました。幾つかネタはあるのですが、どうも上手く時間が取れず、また海外出張や他の案件で多忙だったのです。

と云いつつもしっかりオタク活動はやっておりますので、まあ、息抜きするだけの時間はちゃんと確保しております。仕事が多忙で過労死、なんて洒落になりませんからねえ。高度成長期のサラリーマンじゃないんですから、しっかり働き、しっかり息抜きすることが何より大事です。

と云う訳で、最近買った新譜の中で出色の出来だった本盤、マーラーが好きな方なら一度は聴いたことがあると思います。交響曲第1番のハンブルグ稿です。

マーラーの交響曲もブルックナーほどでは無いにせよ、若干の版の問題があります。有名なところでは交響曲第6番の第二楽章スケルッツオと第三楽章アンダンテ。初演時はスケルッツオを先に演奏したのですが、曲想が第一楽章と良く似ているため、初演後第三楽章として演奏することに。しかしながら、現在では初演時と同じく第二楽章として演奏されております(たまにアンダンテを先に演奏するものに出くわしますが) また、同曲のフィナーレで打ち鳴らされるハンマー。初演時は三回。その後はニ回に改められております。これもたまに三回打ち鳴らす演奏に出会うことがあります。若杉弘氏が都響とチクルスをやった時は三回目のハンマーを打たせておりました。

と斯様に、マーラーの交響曲も幾つかの改版、改訂がなされて現代に至っております。
今回ご紹介する交響曲第1番(1893年ハンブルグ稿)もその成立には複雑な経緯があります。

まずこの曲は交響詩として1889年にブダペストで初演されます。しかしこれが大失敗。
その後、1893年の再演時に五楽章の交響曲として改訂されます。これが1893年ハンブルグ稿になります。
この曲はその後、三管編成から四管編成に拡大、オーケストレーションも一新され、五楽章から四楽章の交響曲として再構成されます。
これが現在良く聞かれる交響曲第一番です。
そういう意味ではこの1893年ハンブルグ稿は初稿と最終稿の橋渡し役としてマーラー研究の中では重要な楽曲であり、昔から再三演奏されて来ました。
現行ヴァージョンでカットされた第二楽章「花の章」を最終稿と一緒に演奏されることもありますが、正直云ってハンブルグ稿と最終稿の折衷版のような気がして、個人的には余り好きではありません。トランペットのソロが美しく、シューマンのロマンチシズムを明るくしたような楽想はとても魅力的ですので、この楽章を現行版に足して演奏したくなる気持ちも判らなくはないですが、前後の楽章のオーケストレーションが余りに違い過ぎるので「とって付けた」感がどうしても拭えないのです。

ヘルゲンブロック指揮北ドイツ放送響はこの曲をとても活力に満ちた筆致で描き上げて行きます。
冷たい学究肌の演奏ではなく、人肌のぬくもりを感じるようなものとなっています。
録音も素晴らしい。楽器の分離が良く、スピーカーの間にステージが立体感を伴って描き出されます。

先述しましたが、最終稿とオーケストレーションなどがかなり違いますので、最終稿に慣れた耳には異質に聴こえることもあるかと思います。ですが、これが若き日のマーラーが描き出した音楽なのです。後年の指揮者としても名声を勝ち得た頃の交響曲と違い、粗削りな部分やシューマンの仄暗いロマンチシズムから大きな影響を受けたであろうことを匂わせるものとなっております。

マーラーがお好きな方には是非聴いて頂きたいと思います。


<参考CD>
マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』[1893年ハンブルク稿]

 第1部『青春の日々より~花・果実・茨』
  第1楽章:春、そして終わることなく
  第2楽章:花の章
  第3楽章:順風満帆

 第2部『人間喜劇』
  第4楽章:難破!~カロ風の葬送行進曲
  第5楽章:地獄から

 北ドイツ放送交響楽団
 トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)

 録音時期:2013年5月29-31日、2014年1月20-23日
 録音場所:リューベック、ムジーク・ウント・コングレスハレにおけるセッションレコーディング
by score1204 | 2014-05-31 23:02 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
f0229581_23274248.jpgブラームスのヴァイオリン協奏曲には、他の作曲家のヴァイオリン協奏曲には無い、特別な何かを感じています。言葉では上手く説明できないのですが、この曲を聴くたびに私の心の奥底に眠る正体の判らない感情に触れるものがあるのです。それがなんなのか私自身にも良く判りません。

そんなこともあり、この曲は私にとっては好悪を超越した特別な曲なのです。ヴァイオリン協奏曲は数多あれど、ブラームスのものを一番多く所有しているのもその証左と云えるかも知れません。

このCDはソリストのグルジア出身のリサ・バティアシュビリをソリストに迎え、クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンがバックを固める豪華布陣による演奏です。

バティアシュビリのやや細身なヴァイオリンの音色がブラームスのナイーブな心情を豊かに表現しているのに対し、ティーレマン指揮のオーケストラが雄大で厚い響きを奏で、まるで揺り籠のような居心地の良さを感じるものになっています。この両者の対比が実に鮮やか。素晴らしい演奏だと思います。

また、第一楽章のカデンツッアでは一般的に良く演奏されるクライスラーのものではなく、プゾーニ作のものを使っているところが興味深いです。

広くオススメ出来る演奏だと思います。

カップリングはクララ・シューマン作のピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス。
最近、作曲家クララ・シューマンがクローズアップされることが多いですが、実に詩情豊かな作曲家だったことが良く判る演奏です。夫(ロベルト・シューマン)より才能があったのでは無いでしょうか?
ピアノをアリス=沙良・オットが担当しているのも聴き所です。


<参考CD>

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.77
クララ・シューマン:ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス op.22

リサ・バティアシヴィリ(ヴァイオリン)
アリス=紗良・オット(ピアノ:2)
シュターツカペレ・ドレスデン(1)
クリスティアン・ティーレマン(指揮:1)

録音:2012年6月(1)、2012年10月(2)
録音場所:ドレスデン、ルカ教会(1) ミュンヘン(2) セッションレコーディング


DGG 4790086
by score1204 | 2014-04-14 23:57 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
f0229581_22465357.jpgこれも随分昔に購入したCDです。演奏が良いので紹介したいと思います。

のっけから余談になってしまいますが、R・シュトラウスは日本と浅からぬ因縁があります。ナチスがドイツの政権を握った後、R・シュトラウスは半ば強制的にドイツ音楽院総裁の地位に就かされます。これはシュトラウスの親類の中にユダヤ系が居て、その人間を助けるのと引き換えに望まぬ形での就任であったそうです。そしてこのドイツ音楽院総裁の地位にあるシュトラウスの元に極東の島国から祝典音楽の作曲を委嘱されます。これが「皇紀2600年奉祝音楽」です。巨大な編成の管弦楽と派手な音響絵巻はR・シュトラウスの真骨頂を示すものですが、音楽の内容的には正直に申し上げて愚作も良いところです。実に陳腐で下らない音楽。まったく魂が籠って居ない作品と云っても過言ではありません。R・シュトラウスが嫌々書いたことが如実に判る音楽です。
ちなみに皇紀2600年を祝典する曲はR・シュトラウス以外にもヨーロッパ各地の名だたる作曲家達に委嘱されており、今でも聴くことが出来ます。日本の近衛秀麿(近衛文麿の弟)が作曲した曲も残っています。

R・シュトラウスは大規模な管弦楽曲やオペラ、歌曲等に偉大な足跡を遺しておりますが、今回紹介するジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレP.Oの管弦楽曲集は、総じてカッチリとした正攻法の音楽作りで安心して聴ける演奏になっていると思います。楽譜を愚直に丁寧に音にしております。
ただ、玄人筋には、もう少し柔軟性に富んだ音作りが出来ないものか、なんて思われてしまうかも知れません。ですが、このカッチリとした演奏が大規模で複雑なR・シュトラウスの管弦楽曲の理解を助けることはあっても、邪魔になったり、全く違う方向への勘違いを誘発することは無いと思います。

初めてR・シュトラウスの管弦楽曲に触れる、と云う方には安心してオススメ出来るものです。
CD7枚組で3000円ちょっとと云うお値段もきっとお財布に優しいと思います。
コスパに優れた良い全集だと思います。R・シュトラウスを聴いてみたかったんだけど誰の演奏を聴けば良いか判らなかった、と云う方は是非聴いてみて下さい。


<参考CD>
デイヴィッド・ジンマン指揮
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団

収録曲
交響詩『ドン・キホーテ』Op.35
ロマンツェ ヘ長調 AV.75~チェロと管弦楽のため
セレナード変ホ長調Op.7~13管楽器のための
家庭交響曲 op.53
パレルゴン(家庭交響曲余禄)op.73~左手のピアノと管弦楽のための
メタモルフォーゼン(変容)AV.142~23の独奏楽器のための
4つの最後の歌AV.150
オーボエ協奏曲ニ長調AV.144
アルプス交響曲 op.64
祝典前奏曲 op.61
交響詩『ドン・ファン』op.20
交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』op.28
交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』op.30
交響詩『英雄の生涯』op.40
交響詩『死と変容』op.24
交響的幻想曲ト長調op.16『イタリアより』
交響詩『マクベス』op.23

録音:2000年1月~2003年2月、チューリヒ・トーンハレ

Arte Nova 74321984952
by score1204 | 2014-04-09 23:25 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
f0229581_23215034.jpg随分前に購入したCDですが、紹介して居なかったようなので。。。

ワタシはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を偏愛?しているようで、ショスタコ作曲の音楽の中では最も多く所有しているのではないかと思います。交響曲第5番は別ですよ。5番はムラヴィンスキーの音盤を追っかけていたら必然的に増えてしまいますので。。。(笑)

それは兎も角、このCD素晴らしい演奏です。切れ味鮮やか。独奏ヴァイオリンもオーケストラもとてもエネルギッシュな演奏を展開しているように思います。

第三楽章のカデンツァの部分にもう少し深いものを求めたくなりますが、冒頭から最後までピーンと張った緊張感が支配し、この曲の奥底に流れる抑圧された感情のようなものが丹念に描き出されます。

終楽章は中々の名演。ソロとオーケストラが絡んで行くところは、スリリングで手に汗を握ります。

この演奏については賛否両論があるようですが、個人的には全くネガティブなものは見つかりません。自信を持ってオススメ出来る演奏だと思います。

カップリングはヤナーチェクのヴァイオリン協奏曲。私は余りヤナーチェクについては詳しくはないのですが、未完成の協奏曲のようですね。ですが、音楽そのものは大変面白いものです。良い演奏かどうなのかまでは良く判りません。しかしながら、ヤナーチェク独特の音楽展開は非常に興味深いものです。こちらも一聴の価値があると思います。

このCD、ライブ録音にも関わらず、楽器の分離が良く、私などはオーディオチェック用にも重宝しています。独奏ヴァイオリンがセンターにピシッと立つようなレコーディングになっておりますので、スピーカーセッティングの微調整などにも使えますし、このヴァイオリンが左右どちらかに寄るとシステムのどこかに不具合が発生したことが判りますので健康診断用としても使っております(笑)


<参考CD>
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 op.77
バイバ・スクリデ(vn)
ミッコ・フランク(指揮)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2004年4月16-18日、ミュンヘン、フィルハーモニー(ライヴ)

ヤナーチェク:ヴァイオリン協奏曲『魂のさすらい』
バイバ・スクリデ(vn)
マレク・ヤノフスキ(指揮)
ベルリン放送交響楽団
録音:2004年8月25日、ベルリン(ライヴ)


Sony Classical 82876731462
by score1204 | 2014-04-08 23:46 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(2)
f0229581_2343117.jpg先日、発売になったこのCD、正直紹介するかどうか悩みました。何故ならこのCD、ひとことで云って「ブルオタのブルオタによるブルオタのためのCD」以外のナニモノでも無いからです。ブルックナーに興味の無い方が初めて聴いて感動する、なんてものでは全くありません。

このCDはブルックナーが書き残した交響曲のトルソ(断片)や破棄された楽章を演奏し、収録したもので、このCDを持ってしてブルックナーの音楽の神髄に触れる、と云った類のものではありません。現在良く演奏される交響曲の成立を破棄された断片から追って行こうと云う、ある意味では学術的要素が高いものになっています。

それが顕著に出ているのが8曲目に収録されている交響曲第9番第四楽章。皆様ご存知の通り、ブルックナーはこの曲を作曲中に心臓発作で亡くなりました。書き上げて居たのは第三楽章まで。第四楽章は途中まで作曲されておりましたが、演奏可能な状態にはまだなっておりませんでした。20世紀の後半になって複数の音楽学者により補筆完成版が形を成し、インバル、ロジェストヴェンスキー、アイヒホルン等がレコーディングを行って参りました。それとほぼ同時期にフラグメントになっている第四楽章が出版もされました。このCDに収録されているのはこのフラグメント状態の第四楽章なのです。

フラグメント。。。要は断片ですよね。よって、演奏すると云っても演奏しては止り、演奏しては止りの繰り返しです。こんなもので音楽的にどうとか、演奏が素晴らしい、とか云えるような代物ではありません。ブルックナーが書き残した(真筆と云われるもの)をキチンと音にしているだけです。

とは云え、このフラグメントをキチンと音にすることによって、補筆完成版とはまた違う交響曲第9番第四楽章の真の姿が垣間見え、非常に興味深いものとなっています。

お世辞にも万人向けだとは思いませんし、相当のブルオタでも無い限り興味も沸かないCDだとは思いますが、この演奏が世に出た意義は相当に大きいと思います。ブルックナーの音楽に興味のある方は、一度聴いて見ても損はないかも知れません。


<参考CD>

『ブルックナー・アンノウン~リカルド・ルナにより室内管弦楽用編曲および補筆完成された作品集』

アンサンブル・ヴィエナイレス
グレープナー=トリスコ・ピアノ・デュオ
アンサンブル・ウィーン=リンツ
リンツ・ハルト合唱団
リカルド・ルナ(校訂編曲&指揮)

1. 交響曲変ロ長調(1869) 第1楽章のスケッチ
2. 交響曲第1番ハ短調(1865-66年原典版) アダージョ(フラグメント)
3. 交響曲第1番ハ短調(1865-66年原典版) スケルツォ
4. 交響曲第9番ニ短調 スケルツォ(1894)
5. 交響曲第9番ニ短調 破棄されたトリオ第1番(1889)
6. 交響曲第9番ニ短調 破棄されたトリオ第2番(1893)
7. 交響曲第9番ニ短調 トリオ第3番(1894年最終稿)
8. フィナーレ(フラグメント)(1895-96/フィリップス校訂作業に基づく)
9. 『キリストはおのれを低くして』 WAB.10(1873年原典版)

録音時期:2013年


Preiser PRCD91250
by score1204 | 2014-04-07 23:36 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)
f0229581_23195580.jpgシューマンのヴァイオリン協奏曲はとても良い曲であるにも関わらず、舞台にかかることは余りないような気がします。ワタシもかつては年間70~80回はコンサートに行っておりましたが、2~3回しか聴いたことが無いような気がします。

勝手な私見ですが、シューマンはやはりピアノの人で、弦楽器の扱いに慣れて居なかったのでは無いでしょうか? ピアノ曲では珠玉の名曲が沢山ありますが、弦楽器のための曲はヴァイオリン・ソナタやチェロ協奏曲などが残されてはおりますが、正直、余りピンと来るものがありません。今回紹介するヴァイオリン協奏曲を初めて聴いた時も「なんやらごにょごにょ云うとるけど何を云いたいんかさっぱり判らんなあ。云いたいことがあるんやったらビシッとハッキリ云わんかい」などと思ってしまいました(笑)

と云う曲ですので、最初は判り難い曲かも知れません。ですが、何度か聴いているうちに胸に落ちて来ることもあるかと思います。

この曲は当時の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの依頼で作曲されました。ところが、ヨアヒムはこの曲を演奏することは無く、妻クララの手によって保管されていたそうです。初演はなんと1937年。ゲオルグ・クーレンカンプの手によってなされました。作曲から80余年後のことです。

ラトビア出身のヴァイオリニスト、バイバ・スクリデはこの曲を非常に情感たっぷりに演奏しています。元々この曲そのものが独逸浪漫派の特色を色濃く反映していると云う面もあり、その相乗効果でとてもロマンチックなものになっています。

重厚な弦楽群によって奏でられる嵐のような冒頭から、喜悦の中に一抹の寂寥感が漂う終楽章まで、音楽は紆余曲折を経ながら淡々と進行します。シューマン特有の部厚いけど余り鳴りきらないオーケストレーションが少しもどかしく感じるところもありますが、技巧に富んだ独奏ヴァイオリンが情感たっぷりに奏でられ音楽に彩りを添えているかのように思います。

カップリングは同じくシューマンのヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲、チェロ協奏曲(ヴァイオリン版)と盛り沢山なアルバムになっています。

シューマンの仄暗いロマンティシズムを感じたい方にはうってつけの一枚だと思います。


<参考CD>
ロベルト・シューマン
ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリンと管弦楽ための幻想曲
チェロ協奏曲(ヴァイオリン版)

バイバ・スクリデ(Vn)
ヨン・ストゥルゴールズ指揮
デンマーク国立放送交響楽団

録音:2011年8月16-18日、2012年11月16日 コペンハーゲン、DRコンサート・ホール

ORFEO854131
by score1204 | 2014-04-04 00:00 | CD(クラシック) | Trackback | Comments(0)

音楽とオーディオ、その他の日々雑感を気ままに…


by score1204