scoreのオーディオ&音楽日誌

score1204.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:読書( 8 )

赤城と比叡

f0229581_22563326.jpgまず最初にお断りしておきますが、最近流行りの「娘」は出て来ません。それに「赤城」も「比叡」も大東亜戦争を戦った航空母艦でもなければ、戦艦でもありません。日清戦争の黄海海戦を戦った摩耶型4番艦砲艦「赤城」と金剛型コルベット艦2番艦「比叡」の物語です。

その赤城と比叡が活躍する黄海海戦の物語や、一般には余り知られて居ない第一次世界大戦時に日英同盟により地中海に派遣された駆逐艦を中心にした第二特務艦隊の物語など、非常にミリオタ心をくすぐる短編集になっていると思います。

この作者のマンガは初めて読みましたが、どことなく同人誌風で商業マンガでは無いような作風です。こういうのも決して嫌いではないのですが、作品の内容と云い、余り一般受けするような作家ではないと思います。

ただ、そうは云っても、戦史の中でも余りスポットライトが当たらない、地中海派遣の一節や、第一次世界大戦時のドイツ海軍Uボートの物語など、よくぞコレをマンガにしたなあ、と吃驚するやら感心するやらでミリオタでなくとも、少し歴史に詳しい人なら手に取られてもきっと後悔はされないと思います。

まあ、しかし、戦争が良いとは決して云えませんが、最近の「ボタンを押せば勝手に飛んで行って命中」してくれる兵器ではなく「相手に動きを予測しながら、一生懸命狙って撃つ」兵器の方が、何かしら人間臭さを感じて好きですね。

そんな「古き良き時代」(と云う言い方も怒られるな)の戦記ものです。
「船」では無く「艦」が好きな方は是非どうぞ。



「赤城と比叡」
黒井緑 著
白泉社 ISBN-10: 459271086X
by score1204 | 2015-06-10 23:35 | 読書 | Trackback | Comments(0)

帰ってきたヒトラー

f0229581_22554834.jpg久々に面白い小説を読みました。

2011年8月30日、「あの」アドルフ・ヒトラーがベルリンの片隅で復活するところから物語は始まります。SFじみた設定ですが、一種の寓話として描かれている本作には「何故甦ったのか?」という説明はありません。
物語は「私」こと、ヒトラーの一人称で進んで行きます。
当然のことながら1945年4月30日、ベルリンの総統地下壕の中で自殺をしたことは覚えていませんし、現代の社会情勢も理解してはおりません。1945年からいきなり現代へワープして来たのですから、現代のテクノロジーに驚き、当時と何もかも違っていることに当惑を覚えます。

しかし、彼はヒトラーなのです(笑) 何物をも彼自身の鋭い洞察力と観察眼でバッサバッサと切って行きます。それが何故かとても痛快なのです。

もちろん言説も当時のままです。それがTVのお笑い番組のプロデューサーの目に止まり、ヒトラーはお笑い芸人としてデヴューすることになります。ユダヤ問題を回避しつつ(とは云え、完全に回避することも出来ず、重い一章が本作内にあります)ヒトラーの巧みな演説(内容は往時と何ひとつ変らない)はブラックジョークとして視聴者にウケます。そして、自分の冠番組を持つまでになる。

小説の内容そのものがとても風刺に富んだものになっていますが、秀逸なところは我々読者が知らず知らずのうちにヒトラーに感情移入してしまうのです。現在の価値観で云うならトンデモないことです。あのヒトラーに感情移入するなんて。。。
ですが、ふと、思い至ったことがあります。
確かに我々は悪の権化のようなナチスの行いや狂気に満ちたヒトラーの言説に嫌悪感を抱かせるような記録を見せられ、教育を受けて来ました。あんな悲劇を二度と繰り返してはならない、と。
それは全く間違ったことではないと思います。
しかしながら、ヒトラーと彼が率いるナチスは合法的に政権を獲得したのです。
民主的な選挙によって。。。
当時のドイツ国民はヒトラーと同じく狂っていたのでしょうか?
巻末の訳者あとがきにも書かれていることですが、我々はヒトラーの悪行については良く知っていますが、ヒトラーの人物像について余りにも無知であるように思います。かく云うワタシも良くは知りません。幾つかの記録文学や映画等で知っているだけです。
単なる悪の権化であるヒトラー像だけでは無く、人間ヒトラーがどのような人物であったかを公平な目でキチンと評価する時期に来ているのではないか、と本書を読んで思いました。

本書はナチスが政権を獲得した1933年をもじって、19.33ユーロで発売されたそうです。
既に映画化も決まったとのことで、全世界でベストセラーになっているとのことです。

実に面白い小説でした。
物語の最後に実に重いひと言が書かれています。
これを読んで何をどう思うかは、読み手の皆さんにお任せしたいと思います。


ティムール・ヴェルメシュ
森内 薫:訳

原題:ER IST WIEDER DA(彼が帰ってきた)
by score1204 | 2014-02-16 23:37 | 読書 | Trackback(1) | Comments(2)
f0229581_14325391.jpg嫁はんが買ってきた漫画です。とっても面白かったので、ちょいと紹介したいと思います。

皆さんの住んでいるところ、または行きつけの土地にありませんか?

「この店やっとるんかいな?」
あるいは
「この店、客入っとるんかいな??」
または
「何か入り難い感じやな~~」

というお店。

著者の松本英子氏は果敢にもそんな「謎のあの店」に突撃し、そこで繰り広げられる人間模様をユーモアたっぷり、洒脱な筆致で漫画化しております。

幾つかはTVのワイドショーなどで取り上げられたお店もございますが、著者ならでは視点で描かれたお店は人の体温のような、ほんわかとした暖かさを感じさせてくれます。

軽い読み物としても秀逸です。
気軽に読める一冊として是非オススメしたいですね。


松本 英子 著
「謎のあの店 <1>」

朝日新聞出版
ISBN-13: 978-4022131799
by score1204 | 2012-09-30 15:18 | 読書 | Trackback | Comments(2)
f0229581_22283848.jpgなかなか良い作品です。

どことなく可愛い絵柄とは対照的な、暗く、陰鬱な物語はではありますが、我々の父祖が体験して来たことなのです。全日本人必読の書と言っても過言ではないと思います。

この物語は作者の父君の体験を元にして描かれています。もともとは自費出版されていたそうですが、今回単行本として出版の運びになりました。

第二次大戦後のソビエト軍による日本兵シベリア抑留は他の刊行物でも良く知られております。

零下数十度と云う過酷な環境下での強制労働。
栄養失調や病気でバタバタと死んで行く仲間たち。
収容所内で行われる赤化教育と云う名の洗脳。

それらの実体が赤裸々に綴られております。

少々意外だったのは、これら抑留日本兵が作った施設が未だにシベリアに現存しており、日常的に使われていること。まあ、考えてみれば当たり前のことなのかも知れませんが、戦後60年以上が経過した今でもそれらが現存しているということに感動に似た何かを感じます。

主人公は赤紙で召集された二等兵。決して職業軍人ではありません。名のある将官(誰とは言いませんが)が書いた、自己弁明のような抑留記ではなく、召集令状一枚で市井から借り出された一市民が見たシベリア抑留の実体です。是非、沢山の人に読んで頂きたい良書だと思います。


小池書院  ISBN:978-4862258311
by score1204 | 2012-08-21 22:57 | 読書 | Trackback | Comments(8)
f0229581_23594039.jpg久々に一気に読むことが出来た本です。
著者は「機動警察パトレイバー」「攻殻機動隊」「アヴァロン」等、アニメや実写映画で独特の世界観を我々に提示してくれる押井守。私はこの著者の映画が大好きなんです。なんと言いますか、生理的に合う、と云うか、上手く伝えることは出来ないのですが、昔から思考パターンの近似性のようなものを感じているのです(勿論、私なんぞはあらゆる面において著者の才能の足元にもおよびませんが)
そういうこともあり、かなり挑発的な問題提起を示す評論ではありますが、私には非常に理解しやすく、首肯出来る点が数多くあり、稀に見る良書だと思いました。

いつの頃からか、私自身疑問に思い、また感じて来たことですが、日本人は考える力が非常に弱くなっていると思うのです。理屈ではなく情や雰囲気(空気)を優先させ、論理的思考が弱くなっている。根本的な原因とその対策を蔑ろにし、その場限りの対処療法を積み重ね、結果としてシステムの破綻を招いている。また、それを批判する勢力も一時の情や世の中の雰囲気だけで言論を尽くし、やはり根本に踏み込んで行くだけの力が無い。いつから日本人は論理的に考え、行動することが出来なくなったのだろう? 自ら考え、判断し、行動する、と言った民主主義社会でこそ許される権利を放棄し、判断をマスコミや一部の政治家、学者に任せ、自らは被害者面をしている。またそれこそが「大人の行動」だと勘違いしている。

それらの疑問を、この書は歴史を紐解きながら解説してくれています。また、近年流行りのフェイスブック、ツィッターなどについても一刀両断にしています。

現代思想、と云ってしまうと大げさに聞こえますが、我々がこの先どのように生きて行くのか、どのように生きて行くべきか、それを考える切っ掛けになる著作だと思います。

幻冬舎新書 ISBN-13: 978-4344982550
by score1204 | 2012-05-18 00:35 | 読書 | Trackback | Comments(4)

星を継ぐもの

f0229581_22333465.jpgここんとこ私事バタバタしており、なかなか上手く時間が取れませんでした。そんな中、今日は久々に早めに帰宅し、SV-86Bでベートーヴェンのエロイカなんぞを聴きながら、先日購入したまま積読になっていたマンガを2冊読みました。

星野之宣著「星を継ぐもの」

小学館 ISBN-13: 978-4091838889

原作はハードSFの旗手で昨年亡くなったジェームズ・P・ホーガン。

昔からSFが大好きなんですが、ホーガンの小説を読んだのは25歳前後の頃でしょうか? ハードSFというジャンルに開眼したのもこの「星を継ぐもの」を読んでからです。

この小説はホーガンの巨人たちの星シリーズの第1作目で、以降「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」「内なる宇宙」と続きます。私はこのうち1作目と2作目は読んでいるのですが、それ以降はまだ未読です。

西暦205X年、月面で宇宙服をまとった5万年前の遺体が発見されるところから物語は始まります。5万年前と言えばまだ旧石器時代の頃です。そんな時代に人類は月に到達していたのか??

続きは是非、原作かこのマンガをお読み下さい。とてもよく出来た面白い物語です。
ちなみにこのマンガは原作を自由にアレンジして描かれております。原作とは少し前後関係が違います。ですが原作のエッセンスを損なうことなく視覚化しているところは流石、星野之宣と舌を巻いてしまいますね。
良質のSFだと思います。オススメです!

我が師、soundbox師匠は同意してくれるかなあ・・・?(笑)
by score1204 | 2011-12-02 22:58 | 読書 | Trackback | Comments(4)

読書の秋ですね~

皆さんはどのくらいの頻度で本をお読みになられますか?

月に一冊、いや十冊・・・あるいはもっと?

私もどちらかと言うと読書好きな方だと思っているのですが、ここ5~6年は2~3ヶ月に一冊ぐらいの割合でしょうか? いやはや、こんなペースでは読書好きなんて言えませんね。

昔は月に5~6冊は読んでいたと思うのですが、読書に最良の時間である通勤時間が現住居に引っ越してからは40分(うち20分は歩き)程度になり、読むペースがかなりダウンしてしまいました。

学生時代はそれこそ文庫本を一日一冊読むぐらいの読書量でした。どんなジャンルの本でも読みました。官能小説から岩波文庫から出ている小難しそうな哲学の本まで。小説も読めばノンフィクションも読む。太宰治に傾倒していたのもこの頃でしたかね? まあ、誰でも一度は罹る麻疹みたいなもんですわな(笑) ほんとうにどんな本でも興味が沸けば手にとってすぐに没頭したものです。あの頃は時間もあったし、今よりも遙に優れた集中力を持ってたんやろな~ 今となっては考えられない読書量でした(笑)

先の記事にありますように、先週は帰宅後音楽等一切聴かず読書に没頭していたのです。ところが最近は集中力が持続しないのか、読み始めて1時間近くすると活字を追ってはいても内容が頭に入って来ないモドカシサを感じるんですよね~ まあ、会社の仕事で神経を磨り減らしているから、という言い訳も出来るんですが、私自身としてはその言い訳は少し見苦しい感じもします。

年齢相応の経験を積み重ねて少しは知恵も付いて来たかな? とは思ってますが、いろんな意味で若い頃より能力が劣って来ているんじゃないか?とも考えてしまいます。頭の回転も悪くなるし、老眼は進むし(笑)、走れば息切れするし(爆)、せっかく積み重ねて来た経験を生かせぬまま老いさらばえてしまうんじゃないか、との危機感を抱いたりもしますね。

とは言え、こういうモドカシサを感じるのも年齢を重ねて来たからでしょう。若い頃には想像だに出来なかった感覚です(知識はありましたが、実感は全く出来ませんでした・・・当たり前か)

しかし、まあ、そんなことで悲観的になっても仕方ありませんので、年齢相応のモドカシイ感覚を楽しみつつ、これを上手く手懐ける方法を考えて行くことにしましょう。

結局何が言いたいのか訳の判らない記事になっちゃいましたが、先週一週間、本の頁を繰りつつ、そんなことを考えていたのでありました。

お粗末!(笑)
by score1204 | 2011-10-24 22:31 | 読書 | Trackback | Comments(4)

なんだかなあ・・・

先日、平林直哉氏の「クラシック100バカ」と言う本を読みました。とても面白い本でクラシック音楽にまつわる人々や社会現象のおバカぶりを100個列挙している内容で、自分にも当てはまるところもあって汗顔の至りでありました(笑) ほとんどの節において「そうだよなあ」と膝を打つところが多かったのですが、ひとつだけ全く共感出来ないものがありました。どういう内容か簡潔に書きますと、街中に垂れ流されている音楽がウルサイ。なんで日本中どこに行っても音楽が流れているんだ? オレは蕎麦屋に蕎麦を食いに来たのであって音楽を聴きに来たのではない。ガマンならず蕎麦屋の親父にクレームつけてやった。・・・というものです。同じようなことは指揮者の故石丸寛氏もエッセイで書いていたような記憶があります(こちらはホテルのラウンジが舞台でした)

確かに商店街やお店の中には音楽が流れていますし、時には耳障りだな、と感じることは私にもあります。しかし、だからと言って蕎麦屋の親父にクレームつけるようなことでしょうか? おそらく街中に垂れ流されている音楽に過敏に反応しているのはごく少数派で、大多数の人は全く無関心で耳にも届いていないでしょう。それをさも「オレは音楽が判る人間なんだ。蕎麦食ってる時にこんな安っぽい音楽は聴きたくない!」みたいなことを書かれてしまうと、その音楽で生計を立てている人に対して非常に失礼ではないのかな、と思ってしまいます。また「音楽が判らない」大多数に対して上から目線でモノを言っているようにも捉えられます。クラシック音楽の評論家ってそんなに偉いのでしょうか? 私に言わせりゃ、どっちも一緒なんですが・・・

だからと言って少数派が声を上げずに我慢をしなさい、というつもりはありません。私もどちらかというとマイノリティの部類に入ると思っていますので、少数派が世の中の風潮に対してモノを言うことについては大いに共感を覚えます。ですから平林氏の言説もなるほどなと思わせられるところもあります。しかし、それと蕎麦屋の親父にクレームをつけることは全くの別問題だと言わざるを得ません。

まあ、このクレーム云々については平林氏も大人気ないことしちまった、と反省されているようですが、音楽家や音楽評論家と言われる人々に対して超えられない壁のようなものを感じてしまった一節でありました。
by score1204 | 2010-05-29 01:00 | 読書 | Trackback | Comments(0)

音楽とオーディオ、その他の日々雑感を気ままに…


by score1204