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2つのユーモレスク(ヴィオルトーゾの時代)

ドヴォルジャークのユーモレスクという曲をご存知の方は多いと思います。ドヴォルジャークの小品の中でも特にポピュラーな曲だと思うのですが、沢山のヴァイオリニストがこの曲の録音を残してくれており、幾つもの演奏が楽しめます。今回ご紹介するのは、いずれも戦前1920年代の録音で、ゲオルグ・クーレンカンプとフリッツ・クライスラーの演奏です。

まずはクライスラーから
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もう言わずもがなですよね。恐らく20年代の録音だと思います。最内周に打たれている△印の刻印からウェスタン・エレクトリックのカッティングマシンでカッティングされたことが判ります。ちなみにHMVは30年代中盤まで、ウェスタン・エレクトリックのカッティングマシンを使っており、△印の刻印を打って高い印税を払っておりました。HMVが自社のカッティングマシンを使うようになってからは□印を刻印するようになっています。

演奏はクライスラーらしい、とてもジェントルな気品の溢れるものです。甘美な演奏ですね。さぞかし当時の淑女の皆さんはメロメロになったことでしょう(笑)それほどまでに優美で夢見心地にさせられる演奏です。とても表情豊かで、聴いているとセンチメンタルな気分にさせられます。

お次はクーレンカンプ
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刻印から1926年の録音(プレス?)だと判ります。ドイツ・プレス。盤質が違うからだと思いますが、こちらの方がクライスラーのHMV盤よりノイズが少なくて聴きやすいです。レーベルにはドイツ・グラモフォンの印刷が見えますが、後年の黄色いラベルのドイツ・グラモフォンと同じ系列になるのかは判りません(確か同じだった筈です)。演奏はクライスラーのジェントルなものに比べるとヴィオルトーゾチックな、非常に個性豊かな演奏です。こちらも聴き応えがあります。

こうして同時代の名手による演奏を聴き比べてみますと、今では失われてしまった芸の凄みのようなものを感じます。一説によると、当時の演奏家は録音というものを非常に馬鹿にしていて、録音時には普段ではやらない奏法で崩した演奏をすることが多かったらしいです。この説の真偽のほどは判りませんが、仮にそうだったとしてもSP盤に記録された往年の大家の芸が色褪せて聴こえるなんてことはありません。何故ならヴィオルトーゾが遊び心いっぱいに奏でた演奏なのです。悪いはずがありません。ヴィオルトーゾだからこそ許されるお遊びに耳を傾けるのも一興だとは思いませんか?

音色、演奏スタイル、今では失われてしまったこれらの音を現代でも楽しむことが出来るのもSP盤のおかげなんですね。
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Commented by ponchan at 2010-10-05 01:06 x
クライスラーのユーモレスク、良いですよね。私が持っているのは1930年代の演奏ですが、1920年代のものも聴いてみたいです。クライスラーは音色が非常に個性的なのが好きです。また。刻印のお話は非常に興味深いですね。
Commented by score1204 at 2010-10-05 21:12
ponchan様、いつもありがとうございます。
クライスラー、良いですよね。記事にも書きましたがこの演奏を聴いているととてもセンチメンタルな気分にさせられます。こういう心を揺さぶる音色のヴァイオリンは本当に素晴らしいと思います。
刻印の話はミニ知識として知っておくと、いつ頃のレコーディングが判りますので便利ですね。
またいらして下さいませ。
by score1204 | 2010-10-04 00:53 | SP盤(クラシック) | Trackback | Comments(2)

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