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ブルックナー 交響曲第3番 シューリヒト/ウィーン・フィル

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古い録音ですが、ブルックナーの数多ある録音の中で最も好きな演奏です。
指揮者のカール・シューリヒトはブルックナーのスペシャリスト。どちらかと言うと軽めでテンポの速い演奏になっていますが、曲の本質を外すことなくブルックナーの美質を十全に描き出して行きます。この交響曲第3番でも同じようなアプローチで非常にサクッとした筆運びでありながらも、色彩感豊かな美しさが随所に溢れ、とてもロマンチックな演奏になっていると思います。

この演奏はシューリヒトの筆運びもさることながら、ウィーン・フィルの美質も充分に味わえます。夢見るような弦楽群、ローカル色豊かな金管楽器。特にホルンの響きたるや文字通り「角笛」を想起させるような音で陶然とさせられます。この頃のウィーン・フィルが如何に素晴らしいオーケストラであったかが再確認出来ると思います。

録音会場はお馴染みウィーン・ムジークフェライン。このホールの響きもあってまるで天上の音楽のように美しい仕上がりになっています。所々、残響過多で低域が被ってしまい、聴きにくい箇所も僅かにありますが、この美しい演奏の前には些細なキズでしかありません。

とてもロマンチックで美しい演奏です。よろしければ是非聴いて頂きたいと思います。

ど~でも良い話ですが、この演奏の録音最終日に私が産まれています(笑)
こういうのなんだか、ちょっぴり嬉しいですね(苦笑)


<参考CD>
アントン・ブルックナー 交響曲第3番
カール・シューリヒト指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1965年12月2-4日 ウィーン・ムジークフェラインザール

※このCDは何度も再発され、いろんな盤が手に入りますが、現在最も入手しやすいのはメディチ・マスターズから出ている"MM016"というもののようです。カップリングにハイドンの交響曲第86番が収録されています。

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以下余談

ブルックナーはこの曲をワーグナーに献呈しています。当時のワーグナーはバイエルン王ルードヴィヒ2世の後援でバイロイトに祝祭劇場を建設中で、献呈に訪れた見るからに風采の上がらない田舎者であるブルックナーにほとんど関心を払わず、テキトーにあしらっています。ところが、ブルックナーから贈られた総譜を見るやタダモノでない作曲家であることに気付き、劇場建設現場をウロウロしていたブルックナーに使いを送り、呼び寄せています。

ブルックナーの音楽はワーグナーのそれと違ってどちらかと言えば古典的。和声進行等にワーグナーのような斬新さはありますが、本質的にブルックナーの音楽は擬古典的とも言うべきものです。私見ですが、ブルックナーの音楽はバロックに根ざし、オーケストレーションを部厚くして、近代的な和声進行を加味したものだと思っています。

古典に根ざしているブルックナーの音楽ですが、このワーグナーに献呈した一件を持ってして楽壇からはワーグナー派と目され、ウィーンで反ワーグナー陣営の急先鋒であった批評家ハンスリックから終生叩かれることになります。後年ブルックナーはウィーンを本拠地にしますが、ハンスリックからの嫌がらせに近い批判にはほとほと困り果てたようです。それが証拠にオーストリア皇帝にハンスリックからの批判を止めさせるように嘆願を願い出たくらいですから・・・(笑)

また、この曲のウィーン初演は惨憺たる結果に終わりました。曲が終了した時点で残っていた聴衆はムジークフェラインの平土間に20人ほど。この中には若きグスタフ・マーラーも居ました。後日、マーラーが編曲した交響曲第3番のピアノ連弾版をブルックナーは大変喜んだそうです。
by score1204 | 2011-10-27 21:45 | CD(クラシック)

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