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コミュニケーションは、いらない 押井守 著

コミュニケーションは、いらない 押井守 著_f0229581_23594039.jpg久々に一気に読むことが出来た本です。
著者は「機動警察パトレイバー」「攻殻機動隊」「アヴァロン」等、アニメや実写映画で独特の世界観を我々に提示してくれる押井守。私はこの著者の映画が大好きなんです。なんと言いますか、生理的に合う、と云うか、上手く伝えることは出来ないのですが、昔から思考パターンの近似性のようなものを感じているのです(勿論、私なんぞはあらゆる面において著者の才能の足元にもおよびませんが)
そういうこともあり、かなり挑発的な問題提起を示す評論ではありますが、私には非常に理解しやすく、首肯出来る点が数多くあり、稀に見る良書だと思いました。

いつの頃からか、私自身疑問に思い、また感じて来たことですが、日本人は考える力が非常に弱くなっていると思うのです。理屈ではなく情や雰囲気(空気)を優先させ、論理的思考が弱くなっている。根本的な原因とその対策を蔑ろにし、その場限りの対処療法を積み重ね、結果としてシステムの破綻を招いている。また、それを批判する勢力も一時の情や世の中の雰囲気だけで言論を尽くし、やはり根本に踏み込んで行くだけの力が無い。いつから日本人は論理的に考え、行動することが出来なくなったのだろう? 自ら考え、判断し、行動する、と言った民主主義社会でこそ許される権利を放棄し、判断をマスコミや一部の政治家、学者に任せ、自らは被害者面をしている。またそれこそが「大人の行動」だと勘違いしている。

それらの疑問を、この書は歴史を紐解きながら解説してくれています。また、近年流行りのフェイスブック、ツィッターなどについても一刀両断にしています。

現代思想、と云ってしまうと大げさに聞こえますが、我々がこの先どのように生きて行くのか、どのように生きて行くべきか、それを考える切っ掛けになる著作だと思います。

幻冬舎新書 ISBN-13: 978-4344982550
by score1204 | 2012-05-18 00:35 | 読書

音楽とオーディオ、その他の日々雑感を気ままに…


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