ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 山田一雄/日本フィル
ご存知の方も多いかと思いますが、ショスタコーヴィチの交響曲第5番を日本初演したのは山田一雄さんなのです。正確なことは忘れましたが、確か戦後間もない頃だったと記憶しています(1949年頃?だったかな)オーケストラは日本交響楽団(現NHK交響楽団)
さて、この演奏、第一楽章冒頭のモデラートの部分は比較的遅めのテンポで描き上げられます。いやが上にも音楽の悲劇性が強調されているのですが、表現そのものは楽器を変に絶叫させたりすることなく、とても落ち着いて聴こえます。それがまた音楽を深化させており、魂をグイと抉り出すような凄味となって現れているように感じます。ここらへんの表現は流石ヤマカズ!
続く第二、第三楽章もヤマカズならではの演奏になっていると思います。特に第三楽章の清冽さは筆舌に尽くし難く、感動的な演奏になっています。
フィナーレも極めてオーソドックスな表現でありながらも、テンポはやや遅めに設定。曲そのものに語らせるように描き上げて行きます。
日本フィルも大健闘。ライブならではの傷は散見されますが、これは名演の代償の類。決してこの演奏を貶めるものとはなっていません。また、1965年のライブ録音ではありますが、音質は当時の水準をクリアするものとなっており、とても聴き易いものとなっております。
広くオススメしたい逸品です。
<参考CD>
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調
山田一雄指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1965年12月17日 東京文化会館におけるライブレコーディング
TWCO-1011
※なお、このCDはタワーレコードのオリジナル企画となりますのでAmazon、HMV等では入手出来ません。