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戦争のはらわた

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先日、Blu-Rayが発売になりましたので買ってみました。
この映画も何度観たか判りませんねえ。監督はバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー。主演はジェームズ・コバーン。
舞台は第二次世界大戦中のロシア戦線。劇中の台詞等から、ロシアの南部戦線だろうことは推測されますが、映画のテーマとは関係ありません。

さて、この映画、ワタシは大好きなのですが、幾つか気になる点があります。
70年代のハリウッド映画だから仕方が無い面もあると思うのですが、ドイツ軍兵士たちの台詞が全て英語なのです。これには興を削がれます。また主演のジェームズ・コバーン(シュタイナー伍長)がどうみてもドイツ軍将校に見えないのですね。やっぱりコバーンにはテンガロンハットの方が似合うと思います(笑)

そんなことはさておき、この映画はサム・ペキンパーの美学が凝縮された迫力を感じます。短いカットを積み重ねて畳み掛けるような緊迫感を表出しながら、人間の勇気、醜悪さ、優しさ、哀しさ、逞しさを描き出して行きます。戦場と云う極限状況の中で人間性そのものを赤裸々に描き出す画力は圧倒的です。

サム・ペキンパーと云う映画監督が描き出す暴力描写については今でも余人の追随を許さない迫力を感じますが、それが故にB級映画の監督と認識される嫌いがあるようです。決してさに非ず。この監督の映画を良く見ておりますと暴力を通じて人間のあらゆる感情を描き出しているのが良く判ります。暴力と云う負の感情を通しつつも、人間の温かさを描き出す映画監督など他には居ないでしょう。そういう意味では誰も真似の出来ない孤高の表現者と云えると思います。

ここらへんを見誤ると派手な暴力描写を積み重ねただけの単なる戦争映画になってしまいます。観方によってはドイツ軍版「コンバット」にしか見えないでしょう。。。コンバットほど能天気ではありませんが(笑)

脇を固めるのが名優ジェームス・メイスン。ジェームズ・コバーンの敵役にマクシミリアン・シェルと芸達者が並びます。この名優2人の存在がこの映画を格調あるものにしています。

是非多くの人に観て頂きたい素晴らしい作品です。










by score1204 | 2013-12-19 23:41 | 映画

音楽とオーディオ、その他の日々雑感を気ままに…


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