ブルックナー 交響曲第1番(リンツ稿) シュタインエッカー/ムジカ・セクロルム
と云うこともあって、このCDも余り期待しないで購入しました。最近、古楽オーケストラのブルックナー聴いて無いな。久しぶりに買って聴いてみるか、ぐらいの期待値の低い買い物だったのです。しかし、これが大間違い。今まで聴いてきた古楽オーケストラのブルックナーの中ではピカイチ。いやそれだけでなく、全てのブルックナー演奏において名演の部類に入る素晴らしいものでした。いや~これはめっけもんです(笑)
指揮者のフィリップ・フォン・シュタインエッカーはドイツの新鋭。指揮活動だけでなくオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークでは首席チェロ奏者を務めるなど(こちらが本職?)モダン、ピリオドの枠に捉われない活動をおこなっているそうです。私は今回初めて彼の演奏を聴きました。
このブルックナー交響曲第1番の演奏は、とてもエネルギッシュ。古典的なアプローチをとりつつ、時折大胆なアゴーギグを見せるなどしておりますが、全然あざとくないのですね。曲想にピッタリと合っている。
どこをとっても文句の1つも出て来ない納得の演奏です。古楽オーケストラにありがちな薄い音味ではなく、ブルックナーならではの部厚い音響絵巻には舌を巻きます。
全てがツボを捉えている演奏ですので、文句のつけようもないのですが、ひとつだけ。終楽章コーダ直前ホルンで第一主題を高らかに奏でるところがあるのですが、これを少し弱く吹かせたのには疑問符が付きます。決然とした表現が要求されるところだと思うのですけどね~
ともあれ、演奏全体としては素晴らしいものです。最近聴いたブルックナーの録音の中でも筆頭にあげられると思います。
よろしければ是非!
<参考CD>
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調(リンツ稿)
ムジカ・セクロルム
フィリップ・フォン・シュタインエッカー(指揮)
録音:2011年3月 メラーノ、クルハウスにおけるライブ録音
Fra Bernardo FB1310322