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NHK交響楽団 第1829回定期演奏会

久々のN響定演(Aプロ初日)に行って参りました。
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この日の演奏会は首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの指揮で

マーラー:亡き子をしのぶ歌
    (Bar:マティアス・ゲルネ)
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調

の2曲。

どちらも大好きな曲です。

前半のマーラーは安定感抜群のバリトン独唱マティアス・ゲルネの歌に酔いしれました。
マーラーの楽曲の中でも判り易さと晦渋さが合い半ばするものだと個人的には思っているのですが、パーヴォの棒もゲルネの独唱も曖昧なところは皆無。楽曲の細部までしっかりと消化し、描き切っていたところが素晴らしいと思いました。
特に第5曲目「こんな嵐に」の最後のところのホルンの重い響きは、この世ならざる何かを表しているようで、背筋に鳥肌が立ちました。N響のホルンパート、最高です!

後半のブルックナーも充実した演奏。
第1楽章の序奏の部分はかなり重ためのゆっくりした足取りだったのですが、主部に入ってからのまさに「Allegro」と云えるテンポと充実した響きは素晴らしいの一言。
ブルックナーの交響曲第5番は朝比奈隆の演奏で、何度も名演に接してきているからでしょうか、どうしてももう少し遅いテンポでやって欲しいと思ったりもするのですが、パーヴォ&N響の演奏はそれとは違うアプローチを取りつつも嫌な感じや違和感を覚えることは一切ありません。とても素晴らしい演奏です。

この曲でもパーヴォらしく、単調な楽想のところでは楽器のバランスに変化をつけるなどして少し色を着けます。真正ブルオタの皆さんの中には眉をひそめる向きもあるかも知れませんが、私などは面白いと思ってしまいます。私も一応はブルオタなんですけどね。。。(笑)

続く、第2、第3楽章も充実の出来。
意外だったのは第2楽章アダージョと第3楽章スケルッツオをアタッカで続けて演奏したこと。
これはちょっと疑問符が付きます。
と云うか、浅学菲才のワタシには意図が理解出来ません。

第4楽章も非常に充実した出来。
ベートーヴェンの第九フィナーレのように、各楽章を回想した後に低弦群により第1主題が奏され、弦楽群全体で巨大なフーガを作っていくところは圧巻でした。ここは何度聴いても感動しますね。
この楽章はバッハ以来の作曲技法の見本市みたいな側面があって、入念な対位法、巨大なフーガ、横溢するポリフォニーとドイツ音楽精神の昇華が見えるかのような気がします。

乱暴な言い方になりますが、ブルックナーの前中期の曲は巨大なバロック音楽のような趣があって、実に入念かつ緻密に音の階段を積み重ねているかのような印象を受けます。特にこの交響曲第5番はバロック音楽だと思うと理解が早いのではないでしょうか? 個人的な体験となってしまいますが、ワタシはブルックナーの交響曲でこの5番が最後まで理解が出来ませんでした。しかし、ある日突然胸に落ちて来て、それと同時にバッハの偉大さにも気が付くことが出来ました。上手く説明が出来ないのですが、脳内で何かが繋がったのでしょうね。それ以来、ブルックナーの交響曲は巨大なドイツ・バロックだと思えるのです(全く同じことを朝比奈隆が云っていたことを知った時はひっくり返りそうになるぐらい吃驚しました)

余談が長くなりましたが、この楽章も比較的速いテンポありながらも充実した響きで前進します。
金管群によるコーダの長大なコラールはまさに圧巻。
ワタシの好みからはやや外れるものの、素晴らしい演奏でした。

今年の9月の定演ではブルックナーの交響曲第2番も取り上げてくれるそうです。
これも楽しみに待ちたいですね(^o^)
by score1204 | 2016-02-08 22:13 | 演奏会感想

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